臨床検査技術室
臨床検査技術室
臨床検査技術室とは...?
臨床検査技術室は、患者さまから採取した血液や尿、便、細胞などを調べる「検体検査」、「微生物検査」「病理検査」「輸血検査」と心電図や超音波検査など患者さまを直接調べる「生理検査」「ドック健診」から構成されています。
私たちは24時間体制で、365日休むことなく、検査を実施しています。正確な検査結果を報告するため、積極的に外部精度管理に参加して精度向上に努めています。また、各種学会活動や各種チーム医療に参画し、臨床検査技師として専門性を発揮し、質の高い医療の提供を行い、地域医療にも貢献しています。
病理診断科 部長 川端 健二
診療技術部 部長 大矢 基之
臨床検査技術室 技師長 西川 昌伸
副技師長 村上 由美
日本臨床衛生検査技師会・日本臨床検査標準協議会の品質保証施設認証(9部門)を取得しました。
今後も日常の検査結果の精度管理に努めて、信頼性の高い結果提供を行います。
臨床検査を終了した検体の使用について
松下記念病院臨床検査技術室では、日常診療の質向上を目的としてさまざまな研究を行っております。この研究活動の基礎となるのが、臨床検査を終了した検体の再利用です。そのため、残余検体の一部を再利用させていただき、医学の発展に寄与したいと考えています。再利用については、「臨床検査を終了した検体の業務、教育、研究のための使用について-日本臨床検査医学会の見解-」を遵守し行っております。再利用にご承諾いただけない患者さまは、お手数ですが採血時に担当者までお申し出ください。
倫理的配慮について
- 患者さまの生命・健康に直接影響を及ぼすことはありません。
- 氏名・生年月日・住所・電話番号・ID番号などの個人情報はすべて匿名化されます。
- 研究成果は医学の発展のために学会や論文などで発表させていただくことはありますが、その際も個人が特定される情報は全て削除し、院内の適切な審査を経て行います。
- 当該検体について遺伝子解析等は行いませんので、個人が特定されることはありません。
- 再利用につきましてご承諾いただけない場合においても、実際の診療内容には影響いたしませんし、診療上の不利益を受けることはありません。
松下記念病院 病院長 村田 博昭
代表者 川端 健二
連絡先 西川 昌伸
電話 06-6992-1231
内線(3222)
主な内容
資格
2024年4月
- 細胞検査士(6名)
- 国際細胞検査士(3名)
- 超音波検査士(健診)(1名)
- 超音波検査士(消化器)(11名)
- 超音波検査士(表在臓器)(5名)
- 超音波検査士(循環器)(7名)
- 血管診療技師(3名)
- 認定輸血検査技師(1名)
- 認定血液検査技師(2名)
- 認定骨髄検査師(1名)
- 糖尿病療養指導士(3名)
- 二級臨床検査士(臨床化学)(2名)
- 二級臨床検査士(血液)(4名)
- 二級臨床検査士(微生物)(5名)
- 二級臨床検査士(病理)(3名)
- 緊急臨床検査士(5名)
- 認定心電図検査技師(1名)
- 心電図検定1級(1名)
- 細胞治療認定管理師(2名)
- 認定サイトメトリー技術者(1名)
- 認定臨床微生物検査技師(2名)
- 感染制御認定微生物検査技師(2名)
- 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師(2名)
- 認定病理検査技師(1名)
- 肝炎コーディネーター(4名)
- 毒物劇物取扱者(2名)
- 危険物取扱者(1名)
- 保護具着用管理責任者(1名)
- 化学物質管理者(1名)
- 特化物・四鉛作業主任者(3名)
- 有機溶剤作業責任者(3名)
- 医療安全管理者(1名)
施設認定
- 認定臨床微生物検査技師制度研修施設
検体検査
検査結果は疾患の診断、治療、予防に役立つ客観的な情報として医師に報告され、医師は検査で得た多くの客観的情報をもとに、総合的に患者さまの状態を判断し、診断を行っています。また、臨床検査は病気の早期発見、病気の経過観察、治療効果の判定等にも大きく貢献しています。当院は、救急病院としての2次救急医療を行っており、24時間体制で緊急検査に対応しております。
検査室に働く私たちは直接皆さまと接する機会は多くありません。臨床検査技師についてはご存知ないかもしれませんが、このページをご覧いただき少しでもご理解いただければ幸いです。私たちは常に、提出された検体を患者さまと向き合う気持ちで、そして外来患者さまの待ち時間を減らし、迅速で正確な検査結果を報告する体制を整えております。
項目
一般検査
病院を訪れると、必ずと言っていいほど最初に行われる検査です。もっとも古くから行われていた検査で、当時は医師自ら診断の為の補助として一般的に行っていたため、「一般検査」という名称で呼ばれています。この部門では、尿検査・便検査が主体ですが、穿刺液検査など様々な検体の検査を実施しています。今では機械化・専門化が進み、専門の技師によって検査が行われています。特に尿検査は診察前検査が多く、迅速な検査と報告を心掛け患者さまの待ち時間短縮による患者サービスの向上に努めています。
尿検査
腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に入り、ある程度の量がたまると尿道を経て体外に排泄されます。体のどこかに異常があると、不要物が排泄されなかったり、排泄されてはならないものが尿に混じってきます。このように尿中に排泄された成分や性質、量などを調べるのが尿検査です。尿検査は腎臓や膀胱の泌尿器系の病気をまた糖尿病などの病状を把握するうえでとても大切な検査です。正しい検査結果がでるように尿を採るときにはできるだけ中間尿の採取をお願いします。*中間尿...出始めと終わりの尿はすてて、中間部分だけを採った尿のことです。
尿定性検査
尿に試験紙を浸けて、試験紙の色の変化を読みとります。糖や蛋白・潜血・比重・pH等化学的に検査しています。
尿沈渣
尿沈渣は、尿中の有形成分(細菌や白血球、赤血球、膀胱や腎臓の細胞など)を顕微鏡で観察する形態検査です。これらの成分を質的、量的に観察し腎・尿路系、ときには全身性疾患の補助診断、治療効果の判定、病態把握に役立てられています。
便検査
口から摂取された食べ物は、胃や腸などの消化管を経て栄養分や水分が消化吸収され、不要になった成分のみが便として肛門から排泄されます。胃や腸に異常があると、正常なときには見られない成分が便に混入します。便検査は胃や腸などの消化管の病気を知る上で良い手掛かりとなります。最近では余り見られませんが、体内の寄生虫やその虫卵も見つけることができます。
便潜血反応
便の中に血液が混じっていないかを調べます。つまり、消化管で出血がおきていないか調べる検査で、大腸がんの早期診断に役立ちます。
血液検査
血液は体の外へ出ると固まる働きがあります。そのため、血球計数検査(赤血球数、白血球数、血小板数)や血液凝固検査を行う場合、凝固を止める薬剤(抗凝固剤)の入った試験管で血液を採取し、検査を行います。
血球計数検査
血液中の赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)、ヘモグロビン値(Hb)を検査します。赤血球は体内で酸素を運ぶ働きがあります。白血球は体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、免疫に関わる働きがあります。
血小板は出血した際に止血する働きがあります。このように血球はそれぞれの役割を持っており、数に異常が生じるとその役割が充分に発揮できず、病気の原因となります。そのため、血球の正確な数を測定することが、病態の原因究明につながります。
血液像検査
血球計数検査と同時に、血球の形態を自動分析装置あるいは顕微鏡で観察します。白血病などの血液疾患では白血球の形態に異常が見つかる事があります。また、血液疾患以外であっても血球形態の異常が見つかる事があります。そのため、血球数に異常がある場合はもちろん、血球数に異常がない場合でも形態は注意深く観察します。
フローサイトメトリー
血液、骨髄液などを試料とし、目的とする細胞(抗原)に蛍光で標識した抗体を付け、細胞の蛍光量を測ることによって細胞を特徴ごとに分類し、細胞群の比率を求めることが出来ます。現在は血液内科と協力し、末梢血幹細胞採取液中の造血幹細胞数を測定し、移植医療に貢献しています。また、リンパ球の機能を細かく分析することもできるため、免疫能の評価にも使用されます。
血液凝固検査
血漿成分には、血液を固まらせる働きをする物質(凝固因子)が含まれています。
血液は流動性を保ちながら血管内を流れていますが、血管が損傷した場合、血管の収縮とともに止血血栓が形成されます。血管修復後、血栓は除去されます。
このような生体内での生理的な止血機構は血管の機能、血小板機能、凝固・線溶系などの密接な相互作用のもとに進行し、その異常は各種の出血性疾患や血栓性疾患などの原因となっています。当検査室では、凝固線溶系検査として、PT、APTT、FIB、AT、FDP、Dダイマーを測定しています。
骨髄検査(骨髄像)
血球に異常(量的・質的)がみられる場合、その原因を確定するために骨髄の検査が必要となることがあります。骨髄液を吸引する方法(骨髄穿刺)と、太い針で少量の骨髄組織を採取する方法(骨髄生検)の2通りがあります。いずれの方法でも、骨盤の骨(腸骨稜)から採取するのが一般的です。
患者さまにとって少し苦痛を伴う検査ですが、血液疾患を診断するためには絶対必要な検査です。採取した骨髄液はベッドサイドで標本を作製して、検査室に持ち帰り、染色をして顕微鏡で観察します。
対象となる血液疾患には白血病・骨髄異形成症候群・悪性リンパ腫・原因不明の血球減少などがあります。骨髄は血液細胞(白血球、赤血球、血小板)を産生している場所で、非常に未熟な細胞からあらゆる成熟段階の細胞が詰まっています。正常な状態では、充分に成熟した血球のみが血液中に流出してきます。
骨髄検査をすることで、骨髄の造血機能や血液疾患の原因、さらに腫瘍細胞の有無などが明確になります。また、血液疾患の診断や治療法の選択・治療効果の判定においては必須な検査となっています。年間の骨髄検査の件数は約300件です。
免疫化学検査
業務内容
生化学検査、免疫血清検査は、血液(全血、血清、血漿)、尿等の生体より採取された試料を対象として、化学反応、酵素反応、抗原抗体反応、クロマトグラフィー法などの手法を駆使し、蛋白質、糖質、脂質、酵素、電解質、腫瘍マーカー、感染症、ホルモン、血中薬物濃度などの項目を、自動分析機と用手法で検査を行っています。
検査結果は診察時間に間に合うように迅速な検査と報告を心掛け、患者さまの待ち時間短縮によるサービスの向上に努めています。
主な検査内容
- 肝機能検査(AST、ALT、γGT、等)
- 腎機能検査(尿素窒素、クレアチニン、等)
- 糖尿病検査(血糖、尿糖、ヘモグロビンA1c、等)
- 脂質検査(コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、等)
- ホルモン検査(甲状腺ホルモン、心臓ホルモン、等)
- 腫瘍マーカー(AFP、CEA、CA19-9、PSA、等)
- 膠原病検査(RF、等)感染症検査(HBs抗原・抗体、HCV、HA、HIV、等)
などがあり、現在の検査項目は約100項目です。
採血された血液は...
採血室で採血された血液は、遠心分離器で血球成分と血清または血漿成分に分けられます。遠心分離後の試験管を自動分析装置にセットし検査を行います。分析には上部の黄色く透明な血清または血漿部分を用いて肝機能、腎機能、血糖、感染症などの検査を行っています。
検査にかかる時間は...
写真(1)
肝機能、腎機能検査を含め、約45項目を写真(1)の分析装置で測定しています。採血されてから、約60分で結果報告しています。
写真(2)
血糖、ヘモグロビンA1cは写真(2)の分析装置で測定し、約30分で結果報告しています。
写真(3)
感染症は写真(3)の分析装置で測定し、約70分で結果報告しています。
写真(4)
腫瘍マーカー、甲状腺ホルモンは写真(4)の分析装置で測定し、約70分で結果報告しています。
よくある質問Q&A
「今日はご飯を食べてきたのですが、食事の影響は検査に出ますか?」
「過激な運動をしたのですが、検査に影響は出ますか?」
「薬を飲んでいますが、検査に影響は出ますか?」
「今日採血しましたが、お風呂に入ってもよいですか?」
「アルコールで消毒すると赤くかぶれるのですが...」
基準範囲
臨床検査の基準値一覧表を下記よりダウンロードしていただけます。
生理検査
生理検査室では直接患者様の身体を対象として検査を行います。様々な検査項目を各科の医師と臨床検査技師が共に連携して行っています。当院では認定超音波検査士の資格取得に積極的に取り組んでおり、現在は11名が複数の資格を保有しています。また、2024年には日本超音波検査学会の精度認定施設を取得しました。その他の検査項目に関しても技術の向上と精度管理を徹底しており患者様には安心して検査を受けていただけます。
循環器疾患 | 心電図、心臓超音波、経食道心エコー、頸動脈超音波、血圧脈波 など。 |
---|---|
消化器疾患 | 腹部超音波(造影・エラストグラフィ)、尿素呼気試験(ピロリ菌)など。 |
呼吸器疾患 | 肺活量、努力性肺活量、肺拡散能 など。 |
神経系疾患 | 脳波、神経伝導 など。 |
その他 | 甲状腺超音波、乳腺超音波、下肢静脈超音波、下肢動脈超音波 など。 |
資格保有(臨床検査技師のみ)
資格名 | 認定機関 | 人数(人) |
---|---|---|
消化器領域超音波検査士 | 日本超音波医学会 | 11 |
循環器領域超音波検査士 | 日本超音波医学会 | 7 |
体表領域超音波検査士 | 日本超音波医学会 | 4 |
血管診療技師(CVT) | 血管診療技師認定機構 | 3 |
JHRS 認定心電図専門士 | 日本不整脈学会 | 1 |
心電図検定1級 | 日本不整脈学会 | 1 |
日本超音波検査学会の精度認定施設(心臓・腹部)を取得しました。
項目
心電図検査
心電図検査とは、心臓の電気的活動を調べる検査です。心臓は全身に血液を循環させるポンプの役割をしています。その指令を送っているのが「洞結節」という部分で、そこから電気刺激が発生し、この電気刺激によって心筋が収縮し、全身に血液を送り出します。その心筋の微弱な電気的変化を体表に装着した電極から検出し、波形として記録したものが心電図です(安静時12誘導心電図)。
この検査では心筋梗塞、不整脈、心筋虚血などがわかります。検査方法は胸と手首と足首を出した状態でベッドに仰臥位で寝ていただき、次に両手足に電極を挟み、胸に電極を6個付け、その状態で全身の力を抜いて約十秒間安静にて行います。
運動負荷心電図とは?
安静時の心電図をとった後、階段昇降することによって心臓に負担を与え、その後再び心電図をとり、心電図の変化を確認します。
トレッドミル検査とは?
胸に電極を付けたまま動くベルトの上を歩行し、運動負荷をかける検査です。心電図はモニターを見ながら、血圧も測定し、時間ごとにベルトの傾斜と速度を変えて検査を行います。
ホルター心電図検査とは?
通常の心電図ではわからない不整脈などの異常を検出したい場合などに行う検査です。胸にシール状の電極を貼り付け、電極のつながった携帯型の心電図をつけたまま日常生活を送ってもらい約24時間記録します。
心肺運動負荷検査
心電図・血圧・呼気ガス測定用マスクをつけたまま自転車こぎの運動をし、運動耐容能(体力)を評価する検査です。
超音波検査
人間の耳に聞こえない高い周波数の超音波は、臓器や組織の境界で反射する性質があります。この超音波を体外から発信し、返ってきた反射波を受信して画像として捉え、体内の臓器の形や動きなどを見る検査です。安全性の高い検査ですので、妊娠中の方でも検査が可能です。
- 腹部超音波検査:肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓などの腹腔内臓器
- 心エコー図検査
- 経食道心エコー図検査
- 乳腺超音波検査
- 甲状腺超音波検査
- 頸動脈超音波検査
- 下肢血管超音波検査
- 腎動脈超音波検査
超音波検査の手順
- 検査の部位にゼリーをつけます。(検査する部位によっては衣服を脱いでいただきます)
- 検査の画面を見やすくするため、検査室内は少し暗くしています。
- 検査時間は検査する部位によって異なりますが、10~30分位です。※腹部超音波検査、経食道心エコー図検査、腎動脈超音波検査の方は絶飲食が必要です。(その他の超音波検査の方はその必要はありません)
呼吸機能検査
肺活量/努力性肺活量/最大換気量/機能的残気量/拡散能
肺活量は息を吸ったり吐いたりしていただき、肺の換気やガス交換などの機能を評価する検査です。
一酸化窒素検査
呼気中の一酸化窒素濃度を測定し、喘息の診断に役立てます。
脳波・神経・筋機能検査
脳波
頭にクリームを使って電極を貼り付け、脳から出ている弱い電流を調べます。痛みはなく、ベッドに横になった状態で安静に検査を行います。てんかんや脳機能障害などの診断に役立ちます。
筋電図
筋肉に細い針を刺して、手足の筋や神経に異常がないかを調べます。ベッド等で安静にて行う検査です。
神経伝導検査
手足の末梢神経に電気刺激を与え、刺激が筋肉に伝わる速度を調べる検査です。
誘発電位(聴性脳幹反応/体性感覚誘発電位)
音や電気による刺激を繰り返して行い、脳に伝わる反応を調べる検査です。
尿素呼気試験
胃潰瘍や胃がんの原因といわれるヘリコバクターピロリ菌が胃の中にいるかどうか調べる検査です。
CAVI/ABI
CAVI(脈波伝播速度)
血管の柔軟性を調べる検査です。上腕から足首までの脈波が伝わる速さを計測します。
ABI(足関節/上腕血圧比)・TBI(足趾/上腕血圧比)
血圧の比較や脈派の伝わり方を調べ動脈硬化の程度を数値で表します。足首で測定するABIと親指で測定するTBIがあります。
体組成分析(In Body)
睡眠時無呼吸検査
日中に眠気を訴える方を対象にした検査です。睡眠時無呼吸症候群とは、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上おこる。または、1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上おこるものを言います。睡眠時の呼吸状態を調べる検査です。
携帯型ポリグラフ検査
PSG(睡眠ポリグラフ)
この検査は、夕方から翌日の朝まで入院していただき、病室で検査を行います。各種センサー(脳波、眼球運動、下顎筋電図、呼吸、換気運動、心電図、動脈血酸素飽和度、体位、下肢筋電図)を付け一晩寝ていただき、睡眠時の呼吸状態を評価する検査です。
微生物検査
微生物検査室は、自動機器(MALDI Biotyper、BD フェニックスM50、BD バクテックFX システム、GENECUBE)や遺伝子検出装置を導入し、外来や入院より提出される検体について塗抹鏡検、培養検査、同定・薬剤感受性検査、ウイルス検査、遺伝子検査等を行っています。特に緊急性を要する血液培養は、時間外や休日であっても陽性時には技師が塗抹鏡検や遺伝子検査を行い、迅速に医師へ報告する体制をとっています。
遺伝子検査を活用して、様々な病原体の検出に対応しています。また、チーム医療の一員として、院内感染対策や抗菌薬適正使用支援(AS)にも積極的に貢献しています。
塗抹鏡検
検査材料中の細菌を、グラム染色し観察します。
細菌培養検査
検査材料を各種培地に培養し、病原菌を分離します。
同定・薬剤感受性検査
分離した病原菌の菌名を調べ、どんな薬が効くかを検査します。
血液培養装置
血液培養ボトルをBD バクテックFX システムにセットし、陽性になるとアラームで知らせます。
遺伝子検査
各種遺伝子検出装置を用いて、検査材料から結核菌や各種ウイルスを検出します。
輸血検査
輸血療法とは、血液中の赤血球などの細胞成分や凝固因子などの蛋白質成分が量的に減少または機能的に低下した時に、その成分を補充する事で臨床症状の改善を図るものです。輸血療法には一定のリスクを伴いますので、リスクを上回る効果が得られる事、輸血量は効果が得られる最小限度にとどめることが重要です。また、他の薬剤の投与によって治療が可能な場合は、薬剤投与が優先されます。厚生労働省では、「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤の使用指針」を示しています。これらに基づいて「安全かつ適正な輸血」の実施を院内規定として、輸血療法を行なっています。
項目
輸血副作用
日本赤十字社から供給されている血液製剤(献血由来の血液)は、現在可能な限り検査が行われており、安全な血液製剤です。しかしごく僅かに以下のような副作用が生じる危険性があります。
1 | アレルギー、蕁麻疹、発熱 | 1/100(軽症)~1/1万(重症) |
---|---|---|
2 | 溶血反応熱 | 1/1,000(軽症)~1/1万(重症) |
3 | 輸血後GVHD(放射線照射した血液では発症しません) | |
4 | B型肝炎ウィルス感染熱 | <1/74万 |
5 | C型肝炎ウィルス感染熱 | <1/2,300万 |
6 | HIV感染熱 | <1/8,400万 |
7 | その他、未知の病原体による感染熱 | 可能性あり |
日本赤十字血液センター「輸血情報」より
説明と同意(インフォームドコンセント)
輸血をするかどうかは、患者さま自身に決定権があります。輸血を行なう前に、患者さままたはご家族に、輸血の必要性、輸血に伴うリスク、副作用や感染症、使用する製剤の種類や量などについて説明し、同意を得る必要があります。同意を得られなければ、輸血は行なえません。
輸血の種類
輸血には、同種血輸血と自己血輸血があります。
同種血輸血
現在、日本で使用されている同種血は、全てボランティアの献血による血液です。最近では、日本赤十字社血液センターにおいて、赤血球、血小板、血しょうなどの成分ごとに製剤化し、必要とする成分だけを輸血する方法が広く行われています。この方法を「成分輸血」といいます。当院においても、同種血輸血は、基本的に成分輸血を行っています。
自己血輸血
あらかじめ手術前に自分の血液を採取しておき、手術のときに戻す方法です。全身状態がよい外科系手術の患者さまに行われます。通常、大部分の副作用を避けることができますが、採血時の副作用発生の可能性は有ります。
輸血関連組織
輸血療法委員会
院内における、輸血療法の安全性確保と適正化を図り、輸血業務を円滑かつ適正に行うための総合的、具体的な対策を検討、実施することを目的としています。委員構成は、委員長(病院長の任命)、副委員長、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、医事管理で成り立っています。輸血療法の適応に関すること、輸血業務実施時の手続きに関すること、輸血事故等の対応に関すること、副作用・合併症対策に関することなどについて審議し、決定事項は輸血情報室より各部署へ広報されます。また、これらに基づいて輸血室が運営されています。
輸血室(臨床検査技術室)
輸血製剤等の保管・管理、輸血関連検査を主な業務とし、血液センターとの連絡を密にして、輸血副作用発生時の対応や医療情報の収集なども行なっています。また、実施された輸血が適正であったか、輸血中や輸血後の患者さまの様態観察を十分に行い適切に対応していたかを調査し、状況を輸血療法委員会へ報告し、安全かつ適切な輸血に向けた活動を行っています。輸血検査業務は、臨床検査技師による24時間体制をとっています。
輸血製剤および関連物品・装置の保管・管理
各輸血製剤を規定の温度で保管し、依頼に応じて輸血製剤の準備を行ないます。
輸血関連検査には次のような検査があります。
- 血液型検査
- 不規則抗体スクリーニングおよび抗体の同定
- 直接クームス試験および自己抗体の検索
- 交差適合試験
輸血使用量
一年間の大体の使用量です。(200mlの採血から得られる製剤を1単位としています)
照射赤血球製剤 | 3,758単位 |
---|---|
照射濃厚血小板 | 7,370単位 |
新鮮凍結血漿 | 328単位 |
自己血 | 20単位 |
(2023年使用量)
病理検査
摘出された臓器や組織の一部から顕微鏡標本を作製し光学顕微鏡を用いて組織学的な検索を行う組織診断、手術中に提出された検体について短時間で診断を行う迅速診断、スライドグラスに付着させた細胞を染色して顕微鏡下で診断する細胞診、病死した患者さまの死因の究明を目的に解剖を行い診断する剖検(解剖)を行っています。
2023年度の組織検査件数は5,029件(術中迅速検査164件を含む)、細胞診検査件数は約8,136件、剖検件数は11件です。日本病理学会専門医が4名、日本臨床細胞学会認定細胞検査士6名、認定病理技師1名の体制で迅速かつ正確な結果返却に努めています。
項目
組織検査
生体組織の生検材料および手術により摘出された材料から病変部分の組織を取り出します。その組織検体を顕微鏡で見られるように薄く切って染色し、必要に応じて特殊染色や免疫染色を行い、組織標本を作製します。その標本を顕微鏡で観察し、良性、悪性の鑑別、病変の本態や病変の広がりなど形態学的診断を行います。
特殊染色
色々な色素を用い目的の組織、細菌、細胞の構造物などを着色します。
免疫組織化学染色
抗原抗体反応を利用して細胞骨格、細胞成分、ホルモン、腫瘍関連抗原、免疫グロブリンなどを検出します。
コンパニオン診断
患者さま一人ひとりの個別化医療を促進するためにコンパニオン診断を行っています。
その1つとして、医薬品の効果を投与前に予測する検査があります。
病理検査では分子標的治療薬に対する反応性を投与前に予測するための免疫組織化学法等を行っています。
細胞診検査
体のすべての部分から採取されるもの(尿、喀痰、子宮頸部・内膜、気管支粘膜、リンパ節、乳腺、甲状腺、胸・腹水など)が対象となる検査です。採取された材料から標本を作製し顕微鏡でたくさんの細胞の中から悪性細胞(がん細胞)や病気の原因となる細胞、病原性微生物などを探し出します。又、手術中に迅速に検査することにより手術範囲やその後の治療方針の手助けをします。
さらに、細胞診断の精度向上を図るため、液状検体細胞診(LBC)を導入しています。組織検査に比べ比較的容易に検体採取ができ、患者さまの負担が少なく繰り返し検査が行えることより治療効果判定や経過観察にも利用されます。
病理解剖
最善の治療にも関わらず、不幸にして亡くなられた患者さまの病気の状態、病気の診断と治療効果を知るために、ご遺体を解剖させていただきます。病理解剖の結果は臨床病理カンファレンスで検討され、医学の進歩への貢献に繋がります。