リハビリテーション療法室

特色

概要・強み

リハビリテーション(Rehabilitation)とはRe(再び)+habilis(適した)+ation(状態)を意味します。すなわち、様々な病気や怪我により体の機能障害を生じた状態から、可能な限り元の日常生活や家庭復帰、職場復帰を目指します。

当院では、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の3職種が連携を取りながら、入院早期からリハビリ介入し、早期退院に向けて取り組んでいます。

従来では、身体に機能障害を来した患者さまを対象にしていましたが、近年では機能障害を来す可能性のある心不全・糖尿病・骨粗鬆症・腎臓病の患者さまに対して予防的リハビリテーションも積極的に実施しています。

集合写真

また当院は大阪府のがん拠点病院であり、がん患者さまのリハビリも多数行っています。スタッフ全員が、がんリハビリテーション研修を受講し、がんリハビリテーションの算定資格を取得しています。

がんと診断された時から、手術や放射線治療や化学療法を経て緩和期まですべての時期でのリハビリテーションを推進しています。

2020年より、セラピストの病棟担当制を取り入れ、各病棟に担当のセラピストが配属されています。担当病棟の医師・看護師などと詳細な情報共有を行い、スムーズな入院生活を送る援助をしています。

専門的な知識を持ったセラピストを各病棟に配置することで、病棟の特性に応じたリハビリテーションを実施しています。

リハビリテーション療法室

当院リハ室の方針・取り組み

当院のスタッフ配置(2025年4月現在)

  • PT 18名(非常勤1名)
  • OT 8名
  • ST 4名(非常勤1名)

計30名が在籍しています。

部署内の勉強会

部署内の勉強会

患者さまの状態に合わせて最大限の介入を行い、多職種と協力して早期退院を目指します。スタッフ教育として、毎月1回はチーム内での勉強会や症例検討会を実施し、現在困っている問題について検討し翌日からの臨床に役立てています。また、関連する学会や研究会での発表などにも積極的に活動しており、部署全体のレベルアップを図っています。また当院では医師との連携も良好であり、専門医に勉強会を依頼し手術の内容や治療方針について情報提供していただき、患者さまのリハビリ介入に役立てています。

当院は診療科も多く、また急性期病棟・緩和ケア病棟があり、リハビリテーション患者さまも疾患や症状が多岐にわたります。リハビリテーションスタッフも運動器疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患・循環器疾患・がん疾患・誤嚥性肺炎・廃用症候群など様々な疾患に対応できるよう、専門資格を取得したセラピストが在籍し治療にあたっています。

理学療法(PT)

理学療法士は基本的動作を再獲得するために治療を実施する専門家です。
基本的動作とは

  • 寝返る
  • 起き上がる
  • 座る
  • 立ち上がる
  • 立つ
  • 歩く などです

歩行訓練

手術や脳血管疾患などにより動作が不自由になった場合や、治療により臥床期間が増えて身体機能が低下した場合など、一度低下した身体機能を回復し上記の動作回復を目指します。また、治療によって身体機能が低下することを予防するための運動も行っています。患者さまの状態に合わせて、リハビリテーション室か病室など実施場所を決定し、個人の状態に合わせて無理のない範囲での治療を実施します。

一般的にリハビリテーションは、痛い運動や、頑張って運動を行うイメージがありますが、当院では個人の状態に合わせて、運動だけではなく、座ることで全身の身体機能を調整したり、体に触れることでリラクゼーション効果を得たり、会話をすることで一日のリズムを整えたりと、多種多様なアプローチを実施しています。

作業療法(OT)

「ひと」と「生活」をつなぐリハビリテーション

私たちは、着替えやトイレ、家事、仕事などの作業を何気なく行い日々生活を送っています。しかし、病気やケガで入院すると普段何気なく行ってきた作業ができなくなることがあります。作業療法では、入院された直後から食事や着替え、トイレといった日常生活を送るうえで欠かせない、生活動作や退院後に必要な家事や掃除などの生活関連動作、復職に向けた支援などを行い、その人らしい生活が可能となるよう作業療法を提供しています。また、食事が食べやすくなる自助具の提供や、歩きやすくなる福祉機器の提案や選定を行ったり、退院後に円滑な生活が可能となるよう、実際にご自宅に訪問する家屋環境の評価等も行っています。

床上動作訓練

床上動作訓練

食事動作訓練

食事動作訓練

家事動作訓練

家事動作訓練

言語聴覚療法(ST)

脳卒中や、その他の病気が原因で起こるコミュニケーションの障害・摂食嚥下障害の改善や機能維持を目的にリハビリテーションを行います。嚥下障害においては耳鼻科医と連携し内視鏡嚥下機能評価(VE)なども実施しています。また、当院では多職種(医師・専門看護師・栄養士・薬剤師・歯科衛生士・臨床検査技師・言語聴覚士など)で構成された認知症ケアチーム・摂食嚥下チーム・栄養サポートチーム(NST)があり、患者さまの早期回復に向けて、より専門的なサポートできるよう取り組んでいます。外来では脳卒中や頭部外傷発症から半年以内の言語・高次脳機能訓練(介護保険を利用していない方に限ります)も実施しています。

ST物品

ST物品

嚥下訓練

嚥下訓練

高次脳機能訓練

高次脳機能訓練

診療システム(入院からリハビリまでの流れ)

各科主治医が患者さまそれぞれに必要なリハビリテーションの依頼を出し、担当する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が決定されます。主治医の指示の下、安静度(病状に合わせた動作の制限など)に合わせ、リハビリスタッフによる評価を行い、リハビリの進め方を決めます。もともとの生活レベルや病状、患者さまの希望に合わせてリハビリテーションの内容を工夫しています。また、必要時は多職種・患者さま・家族様でカンファレンスを行います。家屋評価を実施して、元ある在宅生活に戻れるように支援しています。

主要設備機器

リハビリナビゲーションシステムデジタルミラー

パナソニック株式会社が開発した
リハビリナビゲーションシステムデジタルミラー

リアルタイムで患者さまの重心動揺などを視覚的に評価・記録することができます。

自転車エルゴメーター(アップライト型)

自転車エルゴメーター(アップライト型)

転倒などの危険性が少なく比較的安全に有酸素運動などのトレーニングが行えます

トレッドミル

トレッドミル

速度や傾斜を調整することで運動負荷を調節しながら歩行運動が行えます

ニューステップ

ニューステップ

回転式のシートで容易に乗り降りができ、安定した楽な姿勢で有酸素運動や無酸素運動が行えます

ダイナトロン709ソラリスプラス

ダイナトロン709ソラリスプラス

1台で電気刺激治療と超音波治療、赤外線治療が同時に行えます

トレーニング器具

トレーニング器具

小児~高齢者まで様々な患者さまに合わせたトレーニング器具があります

徒手筋力計

徒手筋力計

正確な筋力を経時的に測定し、日々のリハビリテーションに活かしています

リカンベントバイク

リカンベントバイク

座ったまま安全にトレーニングが行えます。足の可動範囲も調整できます

施設基準

  • 脳血管等リハビリテーション料(I)
  • 運動器リハビリテーション料(I)
  • 呼吸器リハビリテーション料(I)
  • がんリハビリテーション料
  • 心大血管リハビリテーション料(I)
  • 廃用症候群リハビリテーション料(I)

所属学会および協会

各スタッフが以下のような学会に所属しながら研究発表し、日々知識の研鑽につとめています。

  • 日本理学療法士協会・学会
  • 日本作業療法士協会・学会
  • 日本言語聴覚士協会・学会
  • 日本呼吸ケアリハビリテーション学会
  • 日本乳がん学会
  • 関節ファシリテーション学会
  • 日本静脈経腸栄養学会
  • 日本心不全学会
  • 日本糖尿病学会
  • エンドオブ・ライフケア協会
  • 日本医療マネジメント学会
  • 日本心臓リハビリテーション学会
  • 日本緩和医療学会
  • 日本徒手理学療法学会
  • 日本転倒予防学会
  • 下肢救済足病学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 対人援助・スピリチュアル研究会写真写真
  • 日本がんサポーティブ学会
  • 摂食嚥下リハビリテーション学会
  • 日本循環器学会
  • 日本臨床栄養学会

認定資格

専門・認定資格一覧

  • 認定作業療法士(2名)
  • 認定理学療法士(6名)(脳卒中、健康増進・参加、循環、運動器)
  • 呼吸療法認定士(5名)
  • 呼吸ケア指導士(1名)
  • 福祉住環境コーディネーター2級(6名)
  • ボランティアコーディネーション力検定2級(1名)
  • 転倒予防指導士(2名)
  • 骨粗鬆症マネージャー(1名)
  • がん専門作業療法士(1名)
  • 心臓リハビリテーション上級指導士(1名)
  • 心臓リハビリテーション指導士(4名)
  • 心不全療養指導士(4名)
  • 日本糖尿病療養指導士(2名)
  • 乳がんヨガ指導者養成講習修了者(1名)
  • アクティビティーインストラクター(1名)
  • リンパ浮腫療法士(1名)
  • エンドオブ・ライフケア援助士(1名)
  • サルコペニア・フレイル指導士(1名)
  • 医療安全管理者(1名)
  • 健康運動指導士(2名)

掲載論文

2024年

  • 尾崎圭一 
    Current status of research on sarcopenia in post-treatment cancer survivors in Japan: A narrative review
  • 熊野宏治 
    はじめてのがん患者の作業療法 「消化器がんの作業療法」
  • 熊野宏治 
    提言 「様々な出会いから学び成長し続けること」
  • 笠井健一 
    学術大会におけるSNS活用と参加者の満足度との関連―日本呼吸・循環器合同理学療法学会学術大会2023からの考察―
  • 飯田秀人 Long-term effect of short-term exercise instructions in Japanese patients with type 2 diabetes: Observation study after randomized controlled study
  • 金広千咲 
    統合失調症を合併した心不全に対し多職種介入と地域連携を行った1例

学会・研究会発表、講演

2024年

  • 熊野宏治 
    間質性肺疾患に対する作業療法介入効果の検討
  • 熊野宏治 
    スピリチュアルケア入門
  • 熊野宏治 
    呼吸器疾患の人の生活行為向上支援
  • 熊野宏治 
    大学院生(がんプロ院生)を対象とした講義
  • 熊野宏治 
    肺がんを経験した患者とその家族の生活支援
  • 尾崎圭一 
    がん治療後のサバイバーに対するサルコペニア研究の現状:Narrative review
  • 尾崎圭一 
    血液腫瘍患者における治療前QoLと生存期間との関連性:メタ解析による検討
  • 矢内沙季 
    血液腫瘍患者における前頭葉機能と身体機能および生活の質との関連性
  • 上村瞳歩 
    多発性骨髄腫患者における生活の質と身体機能との関連性について
  • 上村瞳歩 
    骨折リスクの高い多発性骨髄腫患者に対する後方連携の取り組み
  • 笠井健一 
    時間管理とライフワークバランス~SDGs療法士を目指して~
  • 笠井健一 
    心不全診療における理学療法士の役割~心不全チームアプローチの重要性~
  • 笠井健一 
    外来期の心不全療養指導
  • 笠井健一 
    社会復帰を目指した僧帽弁形成術後患者に対する急性期と回復期リハビリテーション病院との連携~急性期病院からの症例紹介~
  • 笠井健一 
    理学療法×頚静脈
  • 廣瀬功佳 
    多発転移性骨腫瘍に対し両側大腿骨髄内釘手術を施行後,骨折リスクを考慮した移乗動作を獲得できた1症例
  • 鈴木有統 
    当院のがん関連脳卒中の現状と課題
  • 川口未来 
    骨転移カンファレンスが有用であった一症例

書籍

  • 笠井健一 
    図解理学療法技術ガイド第5版
  • 笠井健一 
    理学療法 狭心症・心筋梗塞患者に対する病期別理学療法の進め方
  • 飯田秀人 
    理学療法士による外来運動指導の長期的効果の検討