【問題54】血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)を持ちて原発性アルドステロン症のスクリーニングを行う際に、偽陽性の原因になりうる薬剤はどれか。
原発性アルドステロン症は二次性高血圧の中で頻度が高い疾患である。そのスクリーニングとして、血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)を測定し、ARR(アルドステロン/レニン比:PAC/PRA)を用いる。ARR>200 がスクリーニングの基準とされている。
またARR は高血圧患者が服用している降圧薬の種類に影響されることが知られている。日本内分泌学会では、利尿薬、抗アルドステロン薬、β 遮断薬を服用している場合は、原則的には血圧に注意しながら利尿薬と抗アルドステロン薬は6週間以上、β遮断薬は2週間以上前に他の降圧薬に変更し、ARRを測定することを薦めている。この中でβ遮断薬はレニン活性(レニン濃度)の低下によりARRを上昇させ偽陽性を増やす。α遮断薬はARRに影響しない。利尿薬はARRの低下を来し、Ca拮抗薬は影響がないとの報告もあるが、偽陰性の可能性がある。トルバプタンは水利尿薬であり、偽陽性の報告は知られていない。以上から偽陽性に関わる降圧剤はβ遮断薬になる。