子宮体がん

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疫学

子宮内膜から発生するがんです。
日本での新規患者数は13,000人(2013年)、死亡数は2,100人(2013年)で増加傾向です。50歳代の閉経期に好発します。

病因

妊娠・分娩回数が少ないこと、月経不順、不妊、肥満、糖尿病、ホルモン薬の内服などが発症の危険因子です。日本人の未婚化、晩婚化、少子化による妊娠・分娩回数の減少や、食生活の欧米化による肥満や糖尿病の増加のため、子宮体がんの患者数は増加傾向になっています。

症状

ほとんどの場合、不正性器出血が起こります。

診断

ほとんどの場合、不正性器出血をきっかけに、子宮内膜の細胞をこすって採取し顕微鏡で見て異常な細胞の有無を調べる子宮内膜細胞診をして発見されます。産婦人科開業医などで細胞診をして異常があるときは通常、病院へ紹介されますが、子宮内膜の細胞の塊(組織)をとって検査する生検をして診断が確定されます。超音波で子宮内膜が厚く見えるときも子宮体がんを疑います。

進行期

I期 がんが子宮体部に限局するもので、IA期とIB期に細分類されます。
IA期 がんが子宮の筋肉に入りこんでいる深さ(筋層浸潤)が1/2未満のもの。
IB期 がんが子宮の筋肉に入りこんでいる深さ(筋層浸潤)が1/2以上のもの。
II期 がんが子宮頸部に浸潤するが、子宮を超えていないもの。
III期 がんが子宮外に広がるが、小骨盤腔を超えていないもの、またはリンパ節へ広がるもので、IIIA期、IIIB期、IIIC期に細分類されます。
IIIA期 子宮漿膜や付属器(卵巣・卵管)を侵すもの。
IIIB期 腟や子宮傍組織に広がるもの。
IV期 がんが小骨盤腔を超えているか、明らかに膀胱や腸粘膜を侵すもの、ならびに/あるいは遠隔転移のあるもの。
IVA期 膀胱ならびに/あるいは腸粘膜浸潤のあるもの。
IVB期 遠隔転移のあるもの。

治療

通常は手術により子宮や付属器や周囲のリンパ節をとります。手術後にがんが他の部位へ転移したり再発する危険性が高い場合は、術後化学療法(抗がん剤の点滴)をします。当院は低侵襲な腹腔鏡での子宮悪性腫瘍手術をする施設の基準を満たしていないため、手術するときは下腹部から臍の上までお腹を大きめに開ける開腹手術をする必要があります。腹腔鏡手術を希望される場合は高次施設に紹介します。ただし、III期、IV期の進行がんは腹腔鏡手術の適応外になっています。III期、IV期の進行がんでは手術不能で化学療法のみ行う場合や性器出血や腹痛などの症状を緩和する目的での放射線治療のみをすることがあります。