足病診療科

メッセージ

日本では足病学による教育や専門医制度がなく、単科ですべての足病患者の診療を行うことは困難であるため、疾患により腎不全科、整形外科、外科、糖尿病・内分泌内科、循環器内科、皮膚科などの診療科が疾患別に診療が必要になります。

そのため、当院の足病診療科では、多職種多診療科が連携し、患者さまの「足」を守ることも目的に日々診療を行っています「足の症状」でお困りの際は、かかりつけ医の先生にご相談の上、受診してください。

足病診療科の特色・強み

足の動脈も頚動脈や冠動脈と同じように加齢とともに進行します。血管(下肢動脈)が動脈硬化によって硬く細くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)すると血液の流れが悪くなり血行障害が起こります。この血行障害が手足などの末梢の血管に生じた状態を閉塞性動脈硬化症(ASO)といいます。国際的には末梢動脈疾患(PAD)と呼ばれています。

ABI(足関節上腕血圧比)により、PADを診断します。ABI検査は血管の狭窄や閉塞など動脈硬化の進行の程度を推定する検査です。ABIで0.9以下であると、PADと診断されます。特に慢性腎臓病や糖尿病、透析患者さまは重症化しやすいです。2018年度より「足病センター」として、PADの早期発見、治療方針決定、難事例の治療など積極的に取り組んでいます。「むくみ」では、全身疾患、代謝性疾患などから下肢静脈瘤まで診断可能です。各種画像検査を行います。「足が痛い」病気も多様です。上記のPADから、蜂窩織炎、脊柱管狭窄症など各種診断、治療を行います。

また専門外来である、「フットケア外来」「フットウエア外来」では、フットケア指導士による難治性胼胝などの処置、潰瘍などを作らないための生活指導から、適切なインソール選択、靴選択のアドバイス、場合によっては靴自体の作成も可能です。

ABI

当科の治療方針

末梢動脈疾患

治療法は症状や閉塞部位により異なります。内服治療や足病リハビリ、血管内治療、LDL吸着療法など集学的治療を行います。バイパスが必要な場合は、高度医療機関と連携します。

糖尿病性足病変

糖尿病と足は想像以上に深い関係があります。血糖値の高い状態が続くことで、神経障害により感覚が乏しくなったり、足の血管の動脈硬化により血流が悪くなったり、細菌に対する抵抗力が低下するなど様々な問題が生じやすくなります。足は日常、眼に触れにくいので、病気に気づきにくく、治療が遅れがちです。そのため悪化しやすく、最悪の場合は壊疽になることがあります。糖尿病性足病変の重症化予防を目的に、医師、看護師などがチームとなり、受診される方が日常生活を維持できるように、さまざまなケアを行います。

フットケアの詳細はこちら

下肢静脈瘤

足の静脈(血管)が瘤(コブ)のようになる病気のことを、下肢静脈瘤といいます。症状のほとんどがふくらはぎに起こります。足に血液が溜まることによっておこるので、夕方にかけて症状が強くなるのが特徴です。

治療としては弾性ストッキングや弾性包帯を使用して、足の静脈のうっ滞を改善し、むくみやだるさなどの症状を軽減させます。また、必要に応じて、手術療法の選択もできます。患者さまに合わせた形で生活指導を行い、日々のケアの方法等を指導しています。

足指変形、外反母趾など

糖尿病による足病変、変形による足トラブル、抗がん剤による手足症候群などから足を守り、治療効果を最大限引き出すためにフットウェアは大切です。フットウェアとは、靴や靴下など足に履くものの総称を言います。適切なインソール選択、靴選択のアドバイス、場合によっては靴自体の作成も可能です。当診療科ではフットウエア外来を開設しています。ぜひご相談ください。

フットウェアの詳細はこちら

蜂窩織炎

蜂窩織炎とは皮下組織で細菌が増殖して起こる感染症です。皮膚に傷口がある方、免疫力が低下している方に起こりやすい病気です。症状は発熱や倦怠感、感染を起こしている皮膚の発赤や疼痛、熱感などがあります。放置しておくと感染が広がり重症化することがあるため注意が必要です。症状と血液検査、細菌検査などを踏まえて診断します。治療には抗菌薬を用います。また必要に応じて外科的処置。

医師一覧

糖尿病・内分泌内科部長橋本 善隆(はしもと よしたか)

資格
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医
  • 日本内分泌学会内分泌専門医・指導医・評議員
専門領域
  • 糖尿病・内分泌

皮膚科部長森島 陽一(もりしま よういち)

資格
  • 皮膚科専門医
専門領域
  • 遺伝性皮膚疾患
  • アトピー性皮膚炎
  • 乾癬

循環器内科副部長張本 邦泰(はりもと くにやす)

資格
  • 日本循環器学会認定循環器専門医
  • 日本内科学会総合内科認定医・指導医・総合内科専門医
  • 日本心血管インターベンション学会認定医
専門領域
  • 循環器全般
  • インターベンション
  • 心臓CT