アルコール性肝疾患

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概要

アルコール性肝疾患
日本人の成人男性の適切なアルコール量(エタノール20g)
ビール中瓶(500ml) 1本
日本酒 1合
ウイスキーダブル(約60ml) 1杯
ワイングラス 2杯

アルコール性肝疾患は飲酒(エタノールをとること)で生じる肝疾患でアルコール性脂肪肝から肝硬変、肝がんに至る病気です。
摂取したエタノールは吸収され肝臓で代謝されますが、その過程で生じるアセトアルデヒドが様々な障害を起こします。アセトアルデヒドの処理能力には遺伝が関連しており、生まれつきアルコールに強い人から全く飲めない人まであります。日本人はその中間の人が多く、飲酒量が多くなるとアルコールを代謝する能力が上がり、飲酒量が増えてきてより肝障害を起こしやすくなります。

一般にアルコールの処理能力は女性で低く、若年者や高齢者で低いとされており、同じ飲酒量でも肝障害を起こしやすくなります。日本人が健康被害を起こしにくい適切な飲酒量は成人男性でエタノール換算20~25g/日(ビール500ml程度)と言われています。

ウイルス性肝疾患が減ってきており、緊急入院されるアルコール性肝疾患の割合が増えてきています。

当院の肝硬変での緊急入院の原因疾患

主なアルコール性肝疾患

アルコール性脂肪肝

肝臓に脂肪が沈着するアルコール性肝疾患の初期段階で、ASTやγGTPの上昇を認めますが、自覚症状はあまり目立ちません。

アルコール性肝炎

過度な飲酒で生じることが多く、肝障害に加えて白血球の上昇を伴う著明な炎症反応が起こり、発熱や全身倦怠感などから急性肝不全症状を呈する事もあり、生命に関わり集中治療を要することがあります。

アルコール性肝硬変

アルコール性肝障害が長期間続いた状態で、肝臓は硬くなり、食道静脈瘤や腹水、黄疸など慢性肝不全に至ることがあります。特に食道静脈瘤破裂による吐血や肝がんの合併などのリスクが上がります。

治療

病態が軽度の場合は過度のアルコール摂取を控え、適切な栄養をとることで改善しますが、病状が進むと禁酒が必要になります。最近飲酒量を減らすための新しい薬も出ています。アルコール依存症を合併している場合などは禁酒のため精神科での専門的な医療が必要となることがありますので、患者さまと相談の上、必要に応じて、専門医に紹介しています。