代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
※2024年8月より日本語名称が変更されました。
概要
当院に肝障害でかかりつけ医より紹介された患者さまで脂肪性肝疾患の占める割合が増加しています。
B型肝炎やC型肝炎の治療が進んで、患者さまが減少してきた一方、食生活の変化でメタボリック症候群が増え、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患が増加してきています。その中には進行し、肝硬変から肝がんに至る病態もあります。有効な薬剤はまだ開発されていません。当院では管理栄養士による食事指導を行い、糖尿病内科などとも連携して総合的な外来加療をしています。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患とは
肝細胞に脂肪がたまる病気で、組織が進行しない代謝機能障害関連脂肪肝と進行して肝硬変に至る代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH:マッシュ)があります。健康診断を受けた方の約30%に脂肪性肝疾患がみられ、男性では40~60歳、女性では更年期以降に多く見られます。一般に肥満度の増加につれて頻度が上がります。また、若い頃より体重が大きく増えた人、内臓脂肪が多い人、糖尿病や脂質異常症の人に多くみられます。
検査ではAST、ALT、γGTPの上昇などがみられますが特異的な所見は無く、腹部超音波で肝臓が白っぽく見え、CTで黒っぽく見えることが特徴的です。
治療は糖尿病や脂質異常症の治療に加えて、運動、食事療法により体重を減らすことが重要です。
代謝機能障害関連脂肪性肝炎(MASH:マッシュ)
進行する脂肪性肝疾患で、診断は肝生検による組織でなされますが、最近は各種の血液検査を組み合わせ点数化して診断する試みや、画像診断で肝臓の線維化を推定して診断する方法が提唱されています。進行しても血小板の低下はウイルス肝炎よりも軽度で、見逃されやすく、肝硬変と診断されたときには肝機能が悪化しており、肝がんができている症例も少なくありません。最近では肝がんの原因として注目されています。
治療は体重や合併症のコントロールが需要で、それ以外に健康保険適応外ですが抗酸化剤(ビタミンE)なども使用されることがあります。特効薬はまだありません。
当科では、糖尿病・内分泌内科や栄養指導室とも連携して、受診当日の栄養指導など適切な体重管理などにも取り組んでいます。