関節リウマチ

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治療方針や特徴

関節リウマチのアンカードラッグ(中心的薬剤)であるメトトレキサートや、さらに強い効果が期待できる生物学的製剤などを副作用に注意しながら使用しています。関節破壊や変形が進んだ場合には適切なタイミングで手術を提案しています。

合併症の多い患者さまに関しましては、呼吸器内科や膠原病・リウマチ内科と連携を図りながら治療を行っています。

関節リウマチの病態と症状

関節リウマチは、白血球などの免疫をつかさどる細胞が、自分の細胞や組織を間違って攻撃してしまう自己免疫疾患の1つです。関節リウマチでは関節の内側を裏打ちしている滑膜で炎症がおこり、関節が腫れて痛みが生じます。

関節リウマチの原因はまだ完全にはわかっていませんが、遺伝による体質に、タバコによる肺の炎症などの環境因子が加わって発症すると考えられています。

多くは1関節だけではなく複数の関節、特に手指の小関節や手関節などが腫れて痛くなります。悪化すると関節が破壊されてしまい、関節がぐらぐらになったり、力が入りにくくなったりします。

症状が現れやすい部位

関節リウマチの治療法

関節が破壊される前に、関節リウマチと診断して薬物療法を開始して炎症を早期に鎮静化させるのが理想です。治療開始前に関節破壊が進行していたり、各種薬剤を使用しても炎症を鎮静化できずに関節の破壊がすすむ場合には手術療法の適応になります。

薬物治療

以前は炎症と痛みを抑えるためにステロイドホルモンや痛み止めが処方されていました。症状は緩和できても関節リウマチによる関節破壊の進行を止めることはできませんでした。しかし、1999年に関節破壊の進行を抑制する効果もあるメトトレキサートが日本で使用できるようになり、関節リウマチの薬物療法は大きく変わりました。現在では日本だけではなく欧米でもメトトレキサートは関節リウマチのアンカードラッグと位置づけられています。効果がある一方で副作用に注意が必要です。骨髄抑制や、間質性肺炎などの重篤な副作用もありえるので導入当初は外来受診を頻回にするなど注意して使用しています。

2003年からさらに強い効果が期待できる生物学的製剤を使用できるようになりました。いくつか種類がありますが注射薬です。関節に炎症を引き起こす物質のはたらきを抑え、関節破壊を抑制する効果もあります。さらに2013年からは、生物学的製剤と同等の強い効果が期待できる飲み薬である分子標的型合成抗リウマチ薬が使用できるようになりました。生物学的製剤や分子標的型合成抗リウマチ薬もメトトレキサートと同様に強い効果がある一方で副作用に注意が必要です。導入当初は外来受診を頻回にするなど注意して使用しています。

関節内注射

薬を使っても腫れや痛みが関節に残るときには、痛い関節への注射が効果的です。ステロイドホルモンやヒアルロン酸や局所麻酔薬を使用します。

装具療法

関節の変形や不安定性により、痛みが生じる場合には、関節を固定して痛みを和らげたり使いやすくするためにサポーターなどの装具を処方することがあります。

手術療法

体のいろいろな関節で炎症が起こりますので、各々の関節が手術の対象となります。比較的頻度が高い手術を以下に説明します。

人工膝関節全置換術

膝関節の破壊が進行すると痛みや不安定感が強くなり歩きにくくなります。傷んでいる膝関節面を切除して金属などの人工物に入れ替えます。

人工股関節全置換術

股関節の破壊が進行すると痛みのために歩行困難となります。傷んでいる股関節面を切除して金属などの人工物に入れ替えます。

人工肘関節全置換術

肘関節の破壊が進行すると肘を曲げることができなくなり手が顔に届かなくなります。また、肘のぐらつきが生じた場合手で物を保持しにくくなります。肘関節面を金属などの人工物に入れ替えます。

手関節形成術

手関節が変形して小指や環指を伸ばす腱(伸筋腱)が擦り切れて、しっかり伸ばせなくなることがあります。腱が擦り切れないように予防的に変形した手関節を骨切りして形を矯正します。伸筋腱が切れた場合は人差し指を伸ばす腱の1本を移行して指をしっかり伸ばせるようにします。