シンプル頚静脈とは?
臨床現場に活用しやすいように簡便化された頚静脈の新しい評価方法(座位かつ定性).従来の方法はとても複雑である(例:45度半座位で胸骨角から右内頚静脈の拍動上縁の垂直距離を測定).
シンプル頚静脈の目的は?
「座位で頚静脈が見えます」を心不全のサインとして共通言語化するため(特に救急現場).心不全は急速に悪化する場合が少なくないため,迅速かつ適切な搬送と診断,治療が求められる.
どうして右内頚静脈?
右房と直線的な解剖学的位置にあるため(下図).なお外頚静脈には有効に働く逆流防止弁があるため,右房圧の推定には内頚静脈を推奨(ただし上縁の変動が明瞭な場合やクスマウル徴候を除く).

頚静脈は右心不全の指標?
左心不全の指標でもある.多くの左心不全では右房圧と肺動脈圧楔入圧は関連する(関連論文).その機序の一つに,左室圧が心室中隔を介して右室に伝わるベルンハイム効果がある.
頚静脈はどうして陥凹?
x谷(右房の拡張)とy谷(三尖弁の開放)を反映するため(下図).ただし右房圧が著明に上昇すると静脈還流時のv波が増高し隆起に転じる.一方,頸動脈の拍動は必ず隆起.

どうして負荷が必要?
軽度~中等度に右房圧が上昇した心不全を見逃さないため.安静座位で内頚静脈の拍動を視認するためには,右房圧の高度上昇が必要である(例えば>15 cm水柱または>10 mmHg).
救急現場でも負荷が必要?
非専門医やメディカル・スタッフの方々が初期対応することが多い救急現場では,安静時の所見を重視する.一方,心不全の退院前や循環器外来では負荷の併用を心がけたい.
もっと症例を見るには?
循環器フィジカル広場(ブログあるいはYouTube),またはX(@jsbtk)で定期的に症例を更新中.なお身体所見はすべてご本人に確認していただき,ネット共有の同意を得た上で公開.
本アプリのアドレスは?
「シンプル頚静脈」で検索するか,下記のQRコードを読み込む.商業目的を除き自由に配布していただいて結構である.

免責事項は?
頚静脈の解釈には個人差があり絶対的ではないため,本アプリの情報に基づいて行われたあらゆる行為とその結果で生じた損害・損失に対して一切の責任を負わないものとする.
本アプリの作成者は?
パナソニック健康保険組合 松下記念病院 循環器内科の川崎達也(プログラムやイラスト,動画を含む).他に様々な教育コンテンツも公開中(松下ハート塾).メールはコチラへ.


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