成長の仕組み
教育体制
専門職としての仕事を行いながら知識や技術、経験を“継続的”に磨き高めていくことで、私たち看護師はキャリアを形成していきます。
当院は、専門職としての誇りを持ってキャリアアップできるよう、日本看護協会のJNAラダーをもとに「キャリア開発ラダー」を作成し、新人から熟練に至るまで、各々の課題に沿って看護実践能力が高められる教育を大切にしています。
松下のキャリア開発ラダー
看護専門職としてのキャリアを段階的に挙げるための指標となるもの、それが「キャリア開発ラダー」です。
そこには、各ラダーレベルに求められる知識・技術・態度を、以下の能力に分類した形で示しています。
看護実践能力
・ニーズをとらえる力
・ケアする力
・協働する力
・意思決定を支える力
組織役割を遂行する力
教育・研究する力
各々の看護師が院内や院外でどのような研修を受けたのか、可視化できるようポイント制を導入しています。ポイントをみれば、ひと目で皆さんの努力の成果が分かります。年度末の評価にもつなげられるアピールポイントのひとつにしてもらっています。
Online Eラーニング教材の活用
職員全員が、当院が契約しているオンライン講座を学べる環境にあります。インターネット環境があれば、院内はもとより、家庭でも学ぶことができます。
現場で働くナースだけでなく、産休・育休中、そして復職の方も、現在の看護のトピックを常に学ぶことができます。看護補助者の方も、もちろん使っています。
また文献検索のシステムもありますので、さまざまなインターネットを使った学習方法を活用し、看護の質の向上のために励んでいます。
新人教育
"研修で学び、臨床で活かす"
このスタイルは新人も先輩も同じです。最初は研修中心ですが、徐々に臨床現場での実践から学び成長していくことを願っています。
成長のスピードは人それぞれ。初めてなんだからできなくて当たり前。明るく元気に真っ直ぐに。新人さんは、私たちが忘れかけていることを思い出させてくれる存在でもあります。そんな皆さんを私たちが全力で支えます。
新人看護師 研修スケジュール
ホスピタリティ、チームワーク、コミュニケーションの能力を維持向上できる人材となれるよう入職時の基礎研修から修了時研修までサポートしています。私たちは、看護実践能力を高める“のびしろ”は誰もが持っていると信じ、ともに学び、互いに支え合いながら、自立した学びができる人財となるよう新人教育システムを組み立てています。
今日から社会人
新人オリエンテーション
褥瘡を予防するために
おむつフィットの極意
気管吸引技術の向上
医療安全の基礎
振り返り研修で成長を確認
生活を支える移乗のポイント
夜勤を想定したKYT
フィジカルアセスメント
身体で覚えるBLS
フォローアップ研修
実演から学ぶ排泄ケア
医療ガスの基礎
講師のみなさん
宿泊研修(コロナ前)
新人修了時研修
新人看護師の一日
緊張しながらも、どんどん学び、成長していく新人看護師の一日を紹介します。
出勤・情報収集
電子カルテで受け持ち患者さまの経過を確認。
どのような看護を行うかを考え、1日のスケジュールを組み立てます。
申し送り
夜勤の方から注意事項などを共有。さらにリーダーさんから詳しい情報が伝えられます。
受け持ち患者さまの状態チェック
ベッドサイドに行き、患者様に挨拶。お話をしながら状態の観察を行います。
申し送りの内容を考慮することも大切です。
処置・保清
患者さまの疾患や状態に合わせて、全身清拭・洗髪などを行います。
先輩をお手本にして患者さまに負担のかからないサポートを心がけています。
昼食
カンファレンス
部署の看護師が集まって、患者さまの看護について話し合います。
必要に応じて他職種のスタッフも参加。
検温・処置
コミュニケーションを取りながら、午前から変化がないかなど確認。
記録
電子カルテに患者さまの状態や看護目標の到達状況を記録。
次の担当者が適切な看護をできるようにします。
業務終了
現任教育
2年目以上の看護師には、さらに専門的な看護実践能力の向上を目指した研修が行われています。ラダーレベルの目標と自分のキャリアプラン、ライフイベントとのバランスをとりながら成長できるようサポートしています。
外部研修は大阪府看護協会主催の研修を業務の一環として受講することもできます。
資格取得に当たっては、スキルアップ支援制度として、研修中の給与や受講料の補助などのサポートを行いながら、各々の成長を応援しています。
集合研修としての時間はそれほど多くありません。いかに研修で学んだことを臨床現場でつなげ、Off-JTとOJTとが連続性を持って臨床現場と連携し、成長が感じられ、看護の質の維持向上ができるかを大切にした教育体制を目指しています。
現任教育の年間スケジュール
毎年4月に年間スケジュールを提示し、履修したい研修を4月中に決定し申し込むシステムをとっています。各自がキャリアアップを考えながら、年間計画を立てています。
年間スケジュールを開く(PDF)
ラダーレベルⅠ
研修テーマ
疼痛緩和
呼吸アセスメント
循環アセスメント
呼吸循環意識
思考を言語化
看護過程をもう一度
ひとりでできる文献検索
シミュレーション一発勝負
入退院支援室研修
ケースレポートⅠ
ラダーレベルⅡ
研修テーマ
寄り添うって何?
精神的アセスメント
コミュニケーション
ロールプレイ
スピリチュアルペイン
実践シミュレーション
看護理論からケアを考える
院内版ICLS
リーダーシップ研修
医療安全
P-mShell研修
ケースレポートⅡ発表
付箋に感想
ラダーレベルⅢ〜
研修テーマ
アドバンスケアプランニング
災害机上シミュレーション
合同シミュレーション
ファシリテーション
摂食嚥下研修
多職種で考える臨床倫理
医療安全なぜなぜ分析
看護を語る
看護の質を考える
成長のしるし
ドキドキしながら看護をしていた新人時代を経て、2年目の最後には、こんな言葉をケースレポートに書いてくれるようになりました。その一部をご紹介します。教育担当者は、看護師のモチベーションを高め、やりがいが感じられるよう、今後もサポートしていきます。
常に患者の側にいる看護師として、患者さんが前向きにリハビリテーションに励むことができるよう、一人ひとりにあったアプローチ方法で、積極的に指導・説明を行っていきたい。(Yさん)
看護師は誰しもが「少しでも患者さんに良くなってもらいたい、希望を叶えたい。」という思いがある。ただ、看護師の思いだけで看護介入をするのではなく、患者さんに心の内を語ってもらえる姿勢で関われば、様々な変化をしてそれに応えてくれる。(Nさん)
看護師が患者さんからサインをどう受け取るかが重要だが、看護師の反応や態度は患者との信頼関係にも大きく影響してくる。それらが苦痛の軽減や安心感の基礎となる。(Tさん)
言いたいけど言い出せない、何度も押されるナースコールなど、患者さんの思いの表現の仕方は様々である。表情や行動にはそれぞれ意味があり、その人が出している非言語的なサインを読み取ることが大切である。(Yさん)
日々看護をする中で、要求の訴えが多い人、何も言わない人、看護師に対して怒りをぶつけられる人、我慢する人、いろいろな方がいる。そこからニーズを捉えられるように、常に「何を求めているのか、自分には何が出来るのか」という視点で患者さんの全体を観察し、看護実践に繋げていきたい。(Iさん)